自社ドメインのなりすましメール対策の始め方

自社の名前をかたるメールがなぜ届くのか、どの設定で減らせるのか、届いてしまったときに誰に何を伝えるかが分かります。

更新 2026-10-29 SECUNOA(セキュノア)

会社名をかたるメールが届く仕組み

メールの差出人欄は、手紙の封筒に書く差出人と同じで、送る側が自由に書けます。そのため、第三者が「info@example.co.jp」のように自社のアドレスを差出人にしたメールを送ることができます。

受け取る側のメールサービスは、届いたメールが本当にその会社から来たかを、会社のドメインの DNS(ドメインの住所録のような設定)を見て判断します。ここに手がかりが書かれていないと、偽物を見分けにくくなります。その手がかりが、SPF と DMARC です。

SPF と DMARC の役割

SPF:送ってよい送信元の名簿

SPF(エスピーエフ)は、「このドメインのメールは、この送信元から送ります」という名簿です。Google Workspace や Microsoft 365、ホームページのお問い合わせフォームなど、自社のメールを送っている仕組みを登録します。

DMARC:判定に外れたときの扱い

DMARC(ディーマーク)は、SPF などの確認に外れたメールを、受け取る側にどう扱ってほしいかを伝える設定です。あわせて、判定の集計レポートを自社に送ってもらうこともできます。

SPF だけでは、外れたメールの扱いは受け取る側に任されます。DMARC があると、扱いを自社から指示でき、レポートで自社名のメールがどこから送られているかを知ることができます。

設定で減らせること、減らせないこと

減らせるのは、自社のドメインそのものを差出人にした偽のメールです。受け取る側が DMARC の指示に従って、迷惑メールフォルダに入れたり受け取りを断ったりするようになります。

減らせないものもあります。

  • example-co.jp のように、自社と似た別のドメインから送られるメール
  • 差出人の表示名だけを「株式会社〇〇」にして、アドレスは別のもの
  • 自社の社員のメールアカウントが乗っ取られて送られるメール

似たドメインや表示名だけのなりすましには、取引先との間で「振込先の変更はメールだけで受け付けない」といった約束を決めておくのが有効です。アカウントの乗っ取りには、パスワードの使い回しをやめ、2 段階認証を使うことが対策になります。

進め方

  1. 今の設定を確かめる:SPF と DMARC があるかを確かめます。後述の無料診断で分かります。
  2. SPF の漏れを確かめる:自社のメールを送っている仕組みが SPF にすべて入っているかを、メールやドメインを管理している人に確認します。
  3. DMARC を p=none で入れる:届き方を変えずにレポートだけ受け取る設定から始めます。
  4. レポートを見て段階を上げる:数週間たって自社のメールが正しく判定されていれば、迷惑メールフォルダに入れてもらう設定(quarantine)に上げます。

DMARC のレポートは英語の添付ファイルで届き、そのままでは読みにくいものです。見るべき点は「自社が使っているメールサービスやフォームからの送信が、合格と判定されているか」の 1 つです。読み解きを管理している人に頼む場合は、その旨も依頼に含めておきます。

自分で DNS を触れない場合は、管理している人に頼みます。そのまま送れる文面は DMARC 設定を依頼する文例 にあります。

取引先に届いてしまったとき

自社名をかたるメールが取引先に届いたと分かったら、次の順で動きます。

  • 連絡をくれた取引先に、そのメールを開かない・添付やリンクを開かないようお願いする
  • 差出人のアドレス、届いた日時、件名を教えてもらう
  • 差出人が自社のドメインそのものか、似た別のドメインかを見分ける
  • 必要に応じて、取引先全体に「当社を名乗る不審なメールにご注意ください」と案内する

案内文には、自社から送るメールのドメインと、振込先の変更などはメールだけで依頼しないことを書いておくと、受け取る側が判断しやすくなります。

無料診断で確かめられること

無料診断 では「会社名をかたるメールの対策(SPF)」と「会社名をかたるメールの対策(DMARC)」の 2 項目で、設定があるか、どんな値かを外から確かめます。ドメインを入れるだけで、メールサーバーの ID やパスワードは要りません。設定を頼んだ後に、反映されたかを見るのにも使えます。

よくある質問

社員数の少ない会社でも DMARC は要りますか。

会社の規模に関係なく、自社ドメインでメールを送っているなら設定する価値があります。費用はほとんどかからず、最初は届き方を変えない設定から始められます。

SPF と DMARC を設定すれば、なりすましメールはなくなりますか。

なくなるわけではありません。受け取る側が偽物を見分けやすくなる設定です。また、自社のドメインに似た別のドメインを使ったメールは、この設定では防げません。

取引先から「御社名のメールが届いた」と連絡がありました。

まず、そのメールを開かない・添付を開かないようお願いし、届いた日時と差出人のアドレスを教えてもらいます。そのうえで自社の SPF と DMARC の設定を確かめます。

自社のサイトで確かめる

ドメインを入れるだけで、この記事に出てきた項目が外からどう見えているかを無料で点検できます。設定は変えません。結果はその場で出ます。